広島市立大学語学センター Newsletter No.17 (2002.12.4)

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「広島市立大学CALLシステム
視察報告書」

広島国際学院大学工学部
共通基礎講座専任講師 
城戸 光世

少ない教員で学生の英語力向上を図りたい

 広島国際学院大学は2003年度より、大学における外国語教育の一環として、新たにコンピューターによる語学支援教育システムを導入し、授業内で活用する計画を立てている。工学系の大学ということもあり、本学ではこれまで学生側もまた教員側も外国語学習にはそれほど力を入れてこなかったが、グローバル化が進み、多くの企業が海外と取引を行い、また海外に工場や営業所などを抱えている昨今、将来の日本の技術者に要請される英語力も益々高くなっていることから、少ない教員数で学生の英語力を向上させる試みとしてコンピューター支援による語学教育が検討されている。そこで既にCALL導入による実績もあり、文部科学省や他大学からも高い評価を受けている広島市立大学のCALLシステムを視察することによって、広島国際学院大学の外国語教育を考える際に参考にしたいと願い、2002年9月26日(木)広島市立大学の視察が実現した。案内には国際学部の青木教授が当たってくださった。

CALL利用で反復学習による基礎知識の徹底を

今回の視察で見学させていただいたのは、CALL教室や教材ソフトのコンテンツ作成のための各種設備およびTOEIC対策用ソフトである。このソフトはweb上で学習可能なようにサーバに教材を乗せて稼動する方式で、今回広島国際学院大学で申請し、導入を予定している外部業者のシステムと構造的には同様のものであったが、これらソフトを基本的にすべて市立大学が独自に開発したという話を伺い感銘を受けた。一時間半の授業を一年間フルに展開してゆくのに必要な問題量の多さから、4年間継続して教材作成を行い、やっと今年度からカリキュラムに組み込んでいける量の教材が開発できたというのも納得がゆく。しかし本学では、CALL専門の教員や事務員がいない上、限られた予算内でソフトの独自開発を行うのは実質的に不可能であることから、業者作成の既存ソフトを使うのはやむをえないだろうと思われる。
 ただ青木先生のお話を伺って非常に参考に

ミニコラム 外国語に想う【14】

「芸は身を助く」

芸術学部教授 西田 俊英

 10年程前になりますが文化庁の在外研修生として、1年間家族5人でインドに住みました。元来英語は得意でない上に、何の知り合いもない土地での家探しから始り、電話やプロパンガスの取得手続き等、冷や汗の連続でした。けれど日本を離れると同じ日本人というだけで在印の日本人に親切にしていただいたり、画家ならではの腕前でペンと紙さえあれば身ぶり手ぶりを交えてどうにか意思を通し、切り抜けてきました。1か月程経ってようやく、借家の内部もレンタル家具で埋まり、生活用品も買い揃え、どうにか生活の基盤が整って、やっと研究三昧?の日々となりました。
 村への取材では片言の英語さえ通じない処も多く、まして日本人など見るのも初めてという人ばかりなので、私が風景のスケッチを始めれば、みるみる内に人だかりの山ができ、あちこちで感嘆の声が溢れ?そうなればしめたもので、勇気を出して彼等をモデルに描き始めます。カメラを持たない彼等は自分の顔をそっくりに描くのが不思議らしく、恥ずかしそうながらも我も我もとモデルになってくれます。チャイを御馳走になりながら、注目の的になるのも悪い気はしません。
 幸か不幸か私が語学に堪能ではない分、五感で全身でインドの国に触れようと、在印中、無我夢中でスケッチを描き続けました。インドで買い求めた黄ばんだ何百枚の紙に残された風景、人、動物、植物・・・これらがその後の私の芸術性、人間性の方向に濃密に影響を与えてくれた事は間違いありません。
語学の才能のある方は勿論ですが、私のようにその方に乏しい才能でも絵という世界共通の物を通じて、暮らす事ができたのですから、どうぞ皆さん世界に羽ばたいて下さい。


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