広島市立大学語学センター Newsletter No.17 (2001.12.4)

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CALL教室の展望〜市大CALLを学外から見て
獨協大学、広島工業大学、広島国際大学

 広島市立大学の語学センターは学外の同様な機関から高い評価を得ており、県内、県外を問わず、他大学からの視察が頻繁にあります。特に、今年度から授業として新設されたWeb配信型の自習プログラムである、英語集中プログラムに関する視察が絶えません。そこで、今回は、来学して下さった大学のうち、獨協大学、広島工業大学、広島国際学院大学の方々に、語学センターを視察しての所感や各大学におけるCALL教室設置についての展望を書いていただきました。 ※CALLは、Computer Assisted Language Learningの略。

「CALL教育の理想形を求めて」

獨協大学外国語教育研究所
藤作 健一

市大ではCALLで「自習を見守る」体制を整備

 2002年7月19日、私たちは広島県の外国語教育に対する現状を視察し、獨協大学で実践すべきCALL教育の理想形を検討するため、広島市立大学(以下、市大)を訪問した。本報告では、今回の視察結果の感想を述べるとともに、視察から浮かび上がった獨協大学が今後取り組むべき課題について述べてみたい。
市大のCALL教育を視察して、印象深かった点が2つある。第1に、要点説明やグループ学習など、授業で扱うのが望ましい項目と、反復練習など教室で必ずしも行う必要のない項目を区別し、後者にCALL用自習教材を積極的に活用していたことである。授業内学習と授業外学習の組み合わせによって学習効果の最大化を実現しようとする姿勢は、授業と自習の組み合わせの最適化を追求したCALL教育のあり方を獨協大学で検討する上で大いに参考になった。
第2に、CALL用自習教材を積極的に開発し、学生に活用させる仕組みを構築していた点だ。今回の訪問では、TOEIC対策用CALL教材を閲覧させていただいたが、学習状況や学習成果などを統計処理し、そのデータをもとに学生一人一人の学習意欲を持続させるコミュニケーションの仕組みを構築されていた点は目を見張った。こうした工夫により、単に機械を前にして孤独に学ぶのでなく、「見守られている」ことを学生が感じられる自習体制を整備している点は、本学でもCALL用自習教材を開発する際に、コンテンツと合わせて検討すべき課題となろう。

獨協大学

獨協大CALLでは「人」重視を発展させつつ

 外国語教育の構成要素(学習者、教員、教授法、教材、機器・学習環境など)は昔から不変でも、時代に応じてその内実は変化する。これら構成要素の中でも、獨協大学はとりわけ「学習者」と「教員」と「教授法」にこれまで多くの力を注いできた。具体例を挙げると、英語学習者の実態調査を実施し、英語学習に必要とされるものや社会から求められる英語能力などを明らかにした。また、獨協大学は数多くの中学・高校の英語教員を輩出しており、英語教員の再教育プログラムとして「外国語教育講座」を実施し、獨協大学卒業の英語教員の意見交換のネットワークとしての「英語教育研究会」を支援してきた。またフランス語に関しては、「フランス語教授法研究会」を主催し、実践的な教授法についての意見交換の場を提供してきた。獨協大学のCALL教育への取り組みはまだ始まったばかりであるが、これまで「人」を重視してきた取り組みを今後もさらに発展させつつ、「教材」や「機器・学習環境」といったソフト・ハードのイ

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