◆外国語と就職
仕事で外国語を生かしたい本学の学生に人気のある職種は上図の通りです。なるほどと、うなずけるものばかりです。しかし、ここに皆さんが気づきにくい就職のためのポイントが隠れています。実際に企業が求める語学力は?と言うと、二極化しています。一つは、高いレベルの語学力。これはすぐに思い浮かぶように、通訳や翻訳など外国語のプロのレベルです。もう一つは、外国語が出来れば良いというレベルの場合。実は現在本学への求人はこちらのものが圧倒的に多いんです。入社したら朝から晩まで英語づけ、というような仕事を目指している人は高い志を持って英会話の力を高めて欲しいと思います。ただし、本学は外国語大学ではありません。そのため、残念ながら企業側もあまりそういうものを期待していない部分があるのは否めません。そういった事からも、本学の学生は後者に適しているのではないでしょうか。 外側に外国語が見えない企業にこそ 今の学生は、英語が大事だと聞かされてきているから、素直にそう信じて勉強してきています。しかし、社会のほうの動きがそれになかなかついて行っていないのが実態です。となると、一生懸命勉強をして英語の仕事を!とヤル気になっている学生の皆さんは、じゃあ、どうすればいいのか?と思うことでしょう。多数存在する企業がそれぞれの部署でどんな業務を行っており、どのような人材を欲しているかを知るのは非常に困難です。しかし、社会全体で外国語、特に英語に接する機会はご存じのように増えていますし、少し前まで外国とは縁が薄かった企業もグローバル化によって語学力の需要が高まっています。そのような企業の中では、ある程度のレベルであっても外国語ができる貴重な人材として非常に頼りにされ、いきなり海外に派遣されるなど大きなチャンスがやってくる事もあります。外国語の看板がある企業だけではなく、他の企業についてもしっかりと会社研究をすることです。外国語というのは基本的にはあくまでもツールであり、外国語を使って何をするか、という事が大事なんです。例えば、会社は製薬会社であるが、世界中にある酵素を発見するため、世界各地で現地の人を雇って発掘作業を進めている会社もあります。これは、表向きには外国語を常に必要としているようには見えないが、実は海外活動をさかんに行っている非常にグローバルな企業の一例です。 市大生はどう評価される? では、人材を募集する企業の側からの市大生に対する評価はどのようなものかと言いますと、市大生は企業ウケが良いと思います。英語についてはデキルという認識で、就職後も自分でコツコツ継続して勉強し、がんばる人が多い、となかなか好評のようです。企業の中にはもちろん募集の段階で外国語検定のスコアなどを要求する会社もあります。点数によって足切りをするような企業の場合にはそれに応じた対策が必要になってきますが、どの企業でも採用がスコアだけに大きく左右されるとは限りません。資格武装も必要ですが、それプラスアルファがかなり大事だと踏まえておいたほうが良いでしょう。 市大生に必要なもの 刺身で言うなら、ワサビのようなものが足りないところがあります。しかし、これは市大生だけではなく、もっと全体的な傾向かもしれません。帰りたいのに、他の人が全員帰らないと自分は帰れないという人がいたそうです。どう言って帰ればいいのかわからず、切り出せなかったと言うのです。これは社会体験の不足です。同世代だけではなく、例えばアルバイトなどで異世代の人とも積極的に関わっておくこと、つまり社会体験を通して人間関係づくりの演習をしておくと良いでしょう。実体験を積むことによって人としての味が生まれてくるのではないでしょうか。 留学について 留学する人については、例えば留学先の国ではどんな食事の仕方をするか、というように身近なものでもなんでも良いので、テーマを持って留学することを強く奨めます。異文化体験は、ものの考え方を深める上では非常に良いと思います。しかし、就職については留年や休学などがハンディになることもまだまだあります。海外体験がいつもプラスになるとは限りません。ある人は学生時代にアフリカ旅行に行き、行った先々でしっかりとしたコネクションを作り、膨大なマイルートを作成して帰国。その後にそれを携えて旅行業者などの面接に臨み、結果的に留学経験を生かして企画会社に就職しました。これは雇用者と被雇用者がギブ・アンド・テイクにのっとった契約関係なのだという事がよくわかるいい例ではないでしょうか。海外経験を就職に生かすには行っただけに終わらせない、積極的な取り組みが必要でしょう。 英会話は度胸! 私の経験から結局、英会話は度胸だと思っています。英語圏の国の人を前にして、日本語と英単語をミックスして一生懸命なんとかコミュニケーションをとろうと身振り手振りで自分の考えを伝えようとしている人は、きっと通じるところがあるような気がしますが、英語を中途半端に勉強した人の場合、「イチかバチか」というようなことがまずできません。学校と違って間違って減点されるわけではないのだから、どんどん使うべきだと思います。先日出張の時、東京の電車の中で英語の雑誌を持っている女性がいました。広島でそういう現象を見るようになるにはもっと時間がかかるのでしょうが、将来英語が当たり前の世の中になった時のことを考えても、英語ができるのは良いことだと思います。 |